
英語の冠詞は、名詞の前に a・an・the のどれを置くか、あるいは何も置かないかを決める小さな語です。
英作文を書いていて a と the のどちらにするか手が止まる、冠詞を付けるかどうかを毎回なんとなくで決めてしまう、という悩みに向けたページです。
この記事では、a と an の選び方、the を使う場面、冠詞を付けない場合、数えられない名詞と地名の扱いを、一覧表と自作の例文で整理しました。
結論=相手がどれか分かる名詞には the、分からない1つには a・an、複数形や数えられない名詞で一般的な話をするときは冠詞なしが基本。
英語の冠詞の使い方の結論と早見表
英語の冠詞は a・an・the の3語で、名詞の前に置いてその名詞がどれを指すのかを相手に伝える役目を持ちます。
a と an は不定冠詞、the は定冠詞と呼ばれ、my や this と同じ限定詞の仲間に入ります。
選び方の軸は「数えられる名詞か」「単数か複数か」「相手がどれか分かっているか」の3つです。
| 名詞の形 | 相手がどれか分からない | 相手がどれか分かる |
|---|---|---|
| 数えられる名詞の単数 | a・an(a dog) | the(the dog) |
| 数えられる名詞の複数 | 冠詞なし(dogs) | the(the dogs) |
| 数えられない名詞 | 冠詞なし(water) | the(the water) |
a・an を付けられるのは数えられる名詞の単数形だけで、the は単数にも複数にも数えられない名詞にも付けられます。
数えられる名詞の単数形は、冠詞か my・this などの限定詞を前に置かないまま文に入れることはできません。
たとえば Please open door. とは言わず、Please open the door. のように冠詞を添えて使うのが決まりです。
迷ったら名詞の形から見る
名詞の形が決まれば、残る判断は相手がその名詞を特定できるかどうかの1点に絞られます。
英語の冠詞aとanの選び方と発音のルール
a と an の違いは意味ではなく、すぐ後ろに来る語の最初の音で決まります。
aは子音の音の前
a は、次の語が子音の音で始まるときに使う形です。
見るのは綴りではなく発音なので、u や o の文字で始まっていても、最初の音が子音なら a を付けます。
| 語句 | 最初の音 | 冠詞 |
|---|---|---|
| a book | /b/ | a |
| a big house | /b/ | a |
| a university student | /j/ | a |
| a useful tool | /j/ | a |
| a one-way ticket | /w/ | a |
anは母音の音の前
an は、次の語が母音の音で始まるときに使います。
| 語句 | 最初の音 | 冠詞 |
|---|---|---|
| an apple | /æ/ | an |
| an old car | /əʊ/ | an |
| an umbrella | /ʌ/ | an |
| an hour | /aʊ/ | an |
| an MP3 file | /e/ | an |
hour は h の文字で始まりますが h を発音しないので、最初の音は母音になり an hour が正しい形です。
MP3 のような略語も同じ考え方で、「エム」と母音の音から読み始めるため an を選びます。
名詞の前に形容詞が入るときは、名詞ではなく冠詞のすぐ後ろにある語の音で判断することになります。
an apple でも、形容詞を足して a red apple にすると冠詞は a に変わる、という具合です。
theの読み方は2通り
the は綴りが1つですが、読み方は後ろの音によって2つに分かれます。
- 子音の音の前は /ðə/ と読む(the book・the team)
- 母音の音の前は /ðiː/ と読む(the apple・the hour)
the university は u の文字で始まっても最初の音が /j/ なので、/ðə/ で読むのが自然です。
/j/ や /ʌ/ のような記号が読めないときは、発音記号の読み方をまとめた一覧で記号ごとの音を確かめてから戻ると判断が速くなります。↓

英語の不定冠詞a・anを使う場面
a・an は、相手がどれのことか分からない1つを指すときに付けます。
初めて話題に出す
話の中に初めて出てくる人や物には、a・an を付けて紹介するのが基本です。
I bought a bag yesterday. の a bag は、聞き手がまだ知らないかばんを指しています。
2回目からは相手もどのかばんか分かるので、The bag is very light. のように the に切り替えます。
職業や所属を言う
人の職業を言うときは、She is a nurse. や He is an engineer. のように a・an を付けます。
a・an には集団の中の1人や1つであることを示す働きもあり、He is a student at this school. のように所属を言う文にも使えるのが特徴です。
a・anを付けない名詞
- 複数形の名詞には付けない(✕ a books → ○ books)
- 数えられない名詞には付けない(✕ a water → ○ water)
- my・this などほかの限定詞と並べない(✕ a my bag → ○ my bag)
a・anは数えられる単数だけ
この3つに当てはまる名詞なら、the を使うか冠詞なしにするかを次に考えます。
英語の定冠詞theを使う場面
the は、話し手と聞き手の両方がどれのことか分かっている名詞に付けます。
相手が分かっている物
食卓で Can you pass me the salt? と頼むとき、塩がどれのことかは聞き手にも見えているので the が付くわけです。
| 場面 | 例文 | theが付く理由 |
|---|---|---|
| 前に一度出た物 | I saw a cat. The cat was black. | 1回目で紹介ずみ |
| その場に1つしかない物 | Can you close the window? | 部屋の窓がどれか分かる |
| 自然界に1つしかない物 | We watched the sun go down. | 誰にとっても同じ1つ |
| 最上級の形容詞 | She is the youngest player on the team. | 一番の物は1つに決まる |
| 楽器を演奏する | I practice the violin every day. | 楽器を種類として言う |
| ラジオや警察などの仕組み | I heard the song on the radio. | 生活の中のサービスとして言う |
| the+形容詞で人の集団 | This bus has seats for the elderly. | お年寄りの人たちという集団 |
種類全体を言う形
The computer changed the way we work. のように、単数形に the を付けて発明品や動物の種類全体を表す言い方もあります。
一般的な話は複数形を冠詞なしで言う方法もあり、こちらは次の章で扱います。
the は「どれのことか相手にも分かる」と言える場面で使う、と覚えておくと判断がぶれにくくなります。
最上級の形容詞の前に the が付くのも、一番の物はひとつに決まるからだと考えると納得しやすいでしょう。
最上級の the の使い方は、比較級と最上級の作り方の一覧で er・est と more・most の形と一緒に整理しています。↓

英語の冠詞を付けない場合の一覧
英語の冠詞は、付けないことにも意味があり、何も置かない形は zero article とも呼ばれます。
| 冠詞を付けない場合 | 例文 | ポイント |
|---|---|---|
| 複数形で一般的な話をする | Cats like warm places. | 猫というもの全体の話 |
| 数えられない名詞で一般的な話をする | Music makes me happy. | 音楽というもの全体の話 |
| my・this などの限定詞がある | This is my seat. | 限定詞と冠詞は並べない |
| 都市名・国名・大陸名 | I live in Osaka, Japan. | 多くの地名は冠詞なし |
| 月の名前 | School starts in April. | 月には the を付けない |
| 寝るために行くベッド | I went to bed early. | 家具としてのベッドではない |
| 職場としての work | She leaves for work at seven. | 仕事に行くという意味 |
| 学校や病院の中の活動 | My son is at school now. | 生徒として学校にいる |
一般論は冠詞なし
物事を一般的に言うときは、複数形か数えられない名詞を冠詞なしで使うのが基本です。
Dogs are loyal. は犬という動物全体の話ですが、The dogs are loyal. と言うと特定の犬たちの話に変わります。
同じ名詞でも、後ろに説明を足して範囲を絞ると the が付くようになります。
History is interesting. は歴史一般の話ですが、the history of this town は「この町の歴史」に限られるので the が必要です。
建物より中の活動
イギリス英語では、school・hospital のような名詞で建物ではなく中で行う活動を言うとき、the を付けません。
My grandfather is in hospital. は患者として入院している意味になり、in the hospital と言うと建物の中にいることを表します。
同じように at school は生徒として学校にいること、at the school はその建物にいることを指します。
寝るためのbedはtheなし
メディアの名前は扱いが分かれていて、テレビだけは the を付けないのがふつうです。
- インターネット=on the Internet(the を付ける)
- ラジオ=on the radio(the を付ける)
- 新聞=in the newspaper(the を付ける)
- テレビ=on TV(the を付けないのがふつう)
体の部分や持ち物は the ではなく my や your などの所有格で言うので、I wash my face. のように書きます。
数えられない名詞に付ける英語の冠詞
英語の冠詞でつまずきやすいのが、数えられない名詞の扱いです。
数えられない名詞はひとまとまりの物として扱うため、a・an も数字も付けず、複数形にもしません。
| 種類 | 数えられない名詞の例 |
|---|---|
| 考えや経験 | advice・information・news・luck・work |
| 材料や物質 | water・rice・gold・milk |
| 天気 | weather・rain・snow・thunder |
| 物の集まり | furniture・equipment・luggage |
| そのほか | homework・money・traffic・travel |
advice や information、furniture は日本語の感覚では数えたくなる語ですが、英語では数えられない名詞として扱います。
1つ2つと数える言い方
数えられない名詞を1つ2つと数えたいときは、a piece of や a glass of のような量や入れ物の言葉を前に付けます。
- a piece of advice(助言を1つ)
- two pieces of furniture(家具を2点)
- a glass of water(水を1杯)
- a bowl of rice(ご飯を1杯)
数えられない名詞にも the は付けられ、The water in this river is clean. のように特定の水を指すときに使えます。
意味で数え方が変わる
同じ名詞でも、意味によって数えられる使い方と数えられない使い方に分かれるものがあります。
| 名詞 | 数えられる使い方 | 数えられない使い方 |
|---|---|---|
| glass | a glass(コップ1つ) | glass(素材のガラス) |
| paper | a paper(新聞1部) | paper(紙) |
| chocolate | a chocolate(チョコ1粒) | chocolate(チョコレートそのもの) |
| time | a good time(楽しいひととき) | time(時間一般) |
| work | a work(作品1点) | work(仕事) |
数えられるかどうかは学習者向けの英英辞典で名詞ごとに確かめられるので、迷った語は辞書の表示を見てから冠詞を決めると確実です。
地名と固有名詞に付ける英語の冠詞
地名や固有名詞の多くは冠詞を付けませんが、the を付ける種類ははっきり分かれています。
| 種類 | the の有無 | 例 |
|---|---|---|
| 川 | the を付ける | the Thames・the Nile |
| 山脈 | the を付ける | the Alps・the Himalayas |
| 諸島 | the を付ける | the Bahamas |
| 海・大洋 | the を付ける | the Pacific・the Mediterranean |
| 砂漠 | the を付ける | the Sahara |
| Mount が付く山 | 付けない | Mount Fuji |
| Lake が付く湖 | 付けない | Lake Biwa |
| 都市・国・大陸 | 付けない | Tokyo・Japan・Asia |
| 通りの名前 | 付けない | Oxford Street |
theが付く国名
国名はふつう冠詞なしですが、United や Republic のような語を含む国名と、複数形の国名には the が付きます。
- the United Kingdom
- the United States
- the Netherlands
- the Philippines
建物や新聞の名前
有名な建物や美術作品、新聞、団体の名前にも、the を付けて呼ぶものがあります。
the Taj Mahal や the United Nations は、名前の一部として the まで覚えておくと迷いません。
Mount Fuji は Mount が付くので冠詞なし、the Alps は山脈なので the 付き、と種類で分けると覚えやすくなります。
英語の冠詞でよくある間違いの直し方
ここでは、冠詞で起きやすい間違いを正しい形と並べて確認します。
| 間違いやすい文 | 正しい文 | 理由 |
|---|---|---|
| I like the Italian food. | I like Italian food. | 食べ物全体の話なので the は付けない |
| We must protect the nature. | We must protect nature. | 一般的に言う抽象的な名詞に the は付けない |
| I went to the bed early. | I went to bed early. | 寝るために行く bed は冠詞なし |
| Please wash the hands. | Please wash your hands. | 体の部分は所有格で言う |
| She gave me an advice. | She gave me some advice. | advice は数えられない名詞 |
| He is engineer. | He is an engineer. | 職業には a・an を付ける |
| It takes a hour. | It takes an hour. | hour は母音の音で始まる |
| My birthday is in the May. | My birthday is in May. | 月には the を付けない |
相手が知らない物に the を付けてしまう間違いも多く、初めて話す映画なら I saw a movie called Blue Sky. のように a で紹介します。
一般論のtheは付けすぎに注意
書いた文を見直すときは、名詞を1つずつたどって、前に冠詞か限定詞があるかを確かめると見落としが減ります。
英語の冠詞の使い方の要点
英語の冠詞の使い方を、最後に要点だけ並べておきます。
- a と an は綴りではなく、次の語の最初の音で選ぶ
- a・an は相手がどれか分からない、数えられる名詞の単数に付ける
- the は相手もどれか分かる名詞に付け、単数・複数・数えられない名詞のどれにも使える
- 複数形や数えられない名詞で一般的な話をするときは冠詞なし
- 地名は川・山脈・海に the が付き、都市・国・大陸・Mount や Lake の付く名前は冠詞なし
まず名詞が数えられるかを確かめ、次に相手がどれか分かるかを考える、という2段階で選ぶ習慣を付けましょう。
冠詞は数が少ないぶん、名詞ごとの数え方と合わせて覚えるほど判断が速くなる分野です。
英語の冠詞でよくある質問
Q. a hourは間違い?
A. hour は h を発音せず母音の音で始まるので、正しい形は an hour です。
Q. 2回目はなぜtheになる?
A. 1回目に a・an で紹介した物は、2回目には相手もどれのことか分かるので the に切り替えます。
Q. 複数形にaは付けられる?
A. a・an は数えられる名詞の単数にしか付けないので、複数形には冠詞なしか the を使います。
Q. 国名にtheは要る?
A. Japan や France のように多くの国名は冠詞なしですが、the United States や the Netherlands のように the が付く国名もあります。
参考文献
- A/an and the(English Grammar Today)(Cambridge Dictionary)
- Nouns: countable and uncountable(English Grammar Today)(Cambridge Dictionary)
- Geographical places(English Grammar Today)(Cambridge Dictionary)
- The definite article: ‘the’(British Council LearnEnglish)
- The indefinite article: ‘a’ and ‘an’(British Council LearnEnglish)
あわせて読みたい
at や in と名詞の組み合わせは、前置詞の使い分けを並べた一覧で時間と場所のルールごとに確かめられます。↓

冠詞と並べて使わない my・this などの語は、代名詞の種類を表にした記事で人称・所有・指示の形を見比べられます。↓

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