I、my、me、mine。同じ「私」なのに4つも形があり、話している最中にどれを出せばいいのか分からなくなる。英語の代名詞でつまずくのは、たいていこの形の多さが原因です。しかし形が多いだけで、選び方の規則は「文の中でどんな役割をするか」という一点しかありません。
この記事では、英語の代名詞を人称・所有・再帰・指示の4種類に分けて一覧表で整理し、I と my と me と mine を1文で見分ける方法、himself などの再帰代名詞が持つ2つの用法、this と that の距離感、天気や時間に使う it の正体、one と it の違い、そして性別を決めずに they を単数で使う言い方までをまとめます。
英語の代名詞は「何の代わりか」と「文中の役割」で形が決まる
代名詞とは、一度出てきた名詞を繰り返さずに済ませるための語です。Tom called Tom’s mother because Tom was late. と書くと読みづらいので、He called his mother because he was late. と言い換えます。同じ人を指していても、文の中の役割が変わるたびに形が変わる。これが英語の代名詞の最大の特徴です。
役割は大きく3つです。主語になるときは主格、名詞にくっついて「誰の」を表すときは所有格、動詞や前置詞の後ろに置かれるときは目的格。この3つに、それ自体が名詞として働く所有代名詞と、自分自身を指す再帰代名詞を足した5つが、人称代名詞の全部です。
- 人称代名詞=人やものを指す(I、you、he、she、it、we、they)
- 所有代名詞=「誰のもの」をひと語で表す(mine、yours、his、hers、ours、theirs)
- 再帰代名詞=自分自身に返ってくる(myself、yourself、himself など)
- 指示代名詞=距離や既出の内容を指す(this、that、these、those)
このほかに、someone や anything のような不定代名詞、who や which のような疑問・関係代名詞もありますが、日常の英文で迷いが出るのは上の4種類です。
英語の人称代名詞の格変化を一覧表で覚える
まず全体像です。縦に人称、横に役割を並べた表を、声に出して横に読む練習をすると定着が早くなります。I – my – me – mine – myself と、5つを一息で言えるようにするのが最短の覚え方です。
| 人称 | 主格(〜は) | 所有格(〜の) | 目的格(〜を・〜に) | 所有代名詞(〜のもの) | 再帰代名詞(〜自身) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1人称単数 | I | my | me | mine | myself |
| 2人称単数 | you | your | you | yours | yourself |
| 3人称単数(男性) | he | his | him | his | himself |
| 3人称単数(女性) | she | her | her | hers | herself |
| 3人称単数(もの) | it | its | it | (使わない) | itself |
| 1人称複数 | we | our | us | ours | ourselves |
| 2人称複数 | you | your | you | yours | yourselves |
| 3人称複数 | they | their | them | theirs | themselves |
表を見ると、形の重なりがいくつかあることに気づきます。you は主格と目的格が同じ、his は所有格と所有代名詞が同じ、her は所有格と目的格が同じ。重なっている3か所さえ押さえれば、残りは形が全部違うので迷いようがありません。
また、複数の再帰代名詞だけが -selves という形になります。yourself と yourselves は、相手が1人か2人以上かで書き分けます。Help yourself. は目の前の1人に、Help yourselves. は複数の人に言う形です。
英語の代名詞 I・my・me・mine を1文で見分ける
4つの形の選び方は、その語のすぐ後ろに何が来るかを見れば決まります。理屈より先に、判定の順番を覚えてしまうほうが速く身につきます。
後ろに名詞があるなら所有格
my bag、my idea、my older sister のように、すぐ後ろに名詞が続くときは所有格です。所有格は単独では立てません。必ず後ろに名詞を連れています。I like my は文として成立せず、I like my job. のように名詞が要ります。
後ろに名詞がなく、それ自体が「〜のもの」なら所有代名詞
Whose umbrella is this? — It’s mine.(これ誰の傘? — 私のです)。ここで mine は my umbrella をひと語で表しています。名詞の繰り返しを避けるための形なので、後ろに名詞は付きません。mine bag とは言えません。
動詞や前置詞の後ろなら目的格
Call me tonight.(今夜電話して)/ This letter is for me.(この手紙は私宛てだ)。動詞の直後と前置詞の直後は目的格の場所です。and でつないだときに主格と混ざりやすいので注意が要ります。between you and me は正しく、between you and I は誤りです。
文の主語なら主格
I、he、she、we、they を置くのは、動詞の前だけです。My brother and I went fishing. のように and でつないでも、主語の位置なら主格のままです。判定に迷ったら、and の前を消して読んでみると分かります。I went fishing. は成立しますが、Me went fishing. は成立しません。
| すぐ後ろにあるもの | 選ぶ形 | 例文 |
|---|---|---|
| 名詞が続く | 所有格(my / your / his) | Your answer was right. |
| 何も続かない(〜のもの) | 所有代名詞(mine / yours) | This seat is yours. |
| 動詞の直後 | 目的格(me / him / them) | She invited us. |
| 前置詞の直後 | 目的格 | Sit next to him. |
| 動詞が後ろにある | 主格(I / he / they) | They arrived early. |
英語の所有格と所有代名詞は a・this と並べられるかで分かれる
所有格と所有代名詞の境目で困るのが、a my friend のような形を作りたくなる場面です。英語では冠詞と所有格を名詞の前に2つ並べられません。a my friend、this your idea といった並べ方はすべて誤りです。
こういうときに使うのが of + 所有代名詞の形です。a friend of mine(私の友人の1人)、that idea of yours(君のあの案)のように、所有の情報を後ろへ回します。one of my friends と言い換えることもできます。
なお、its と it’s は形が似ていますが別物です。its は所有格で「それの」、it’s は it is または it has の短縮形です。所有格にアポストロフィは付かない、と覚えると取り違えません。The cat licked its paw. と It’s raining. を並べて確認しておくと確実です。
英語の再帰代名詞は「自分に返る」と「強調」の2つで使う
myself、himself、themselves などの -self、-selves で終わる形が再帰代名詞です。用法は2つしかありません。
用法1|動作が自分自身に返ってくるとき
主語と目的語が同じ人物になるときは、目的格ではなく再帰代名詞を使います。He cut himself while cooking.(料理中に自分を切った)。ここで He cut him. と書くと、別の誰かを切ったという意味になってしまいます。
主語と目的語が同じ人かどうか。これが再帰代名詞を使うか目的格を使うかの唯一の分かれ目です。She looked at herself in the mirror.(鏡に映った自分を見た)も同じ型です。
用法2|「ほかでもなく本人が」と強調するとき
I painted the fence myself.(そのフェンスは自分で塗った)。この myself は文から外しても意味が通ります。外しても通るのが強調用法の特徴で、置く場所は文末か主語の直後です。The principal himself came to the door. のようにも使えます。
by oneself と for oneself は意味が違う
形が似ている慣用表現も整理しておきます。by oneself は「ひとりで・誰の助けもなく」、for oneself は「自分のために・自分の力で判断して」という意味です。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| by myself | ひとりで、独力で | I finished the puzzle by myself. |
| for myself | 自分のために、自分で確かめて | I want to see it for myself. |
| enjoy oneself | 楽しく過ごす | Did you enjoy yourself at the party? |
| help oneself to 〜 | 自由に取って食べる | Please help yourself to the fruit. |
| make oneself at home | くつろぐ | Come in and make yourself at home. |
なお、自動詞の後ろに再帰代名詞を置いてしまう誤りがよくあります。I sat myself down. のように言えなくもありませんが、通常は I sat down. で足ります。日本語の「自分で」に引きずられて -self を足しすぎると、かえって不自然になります。
英語の指示代名詞 this・that・these・those の使い分け
this と that は距離、these と those はその複数形です。表にすると4つの関係が一目で分かります。
| 語 | 数 | 距離 | 例文 |
|---|---|---|---|
| this | 単数 | 近い・今・これから話すこと | This is my first visit. |
| that | 単数 | 遠い・過去・すでに話したこと | That was a long meeting. |
| these | 複数 | 近い | These shoes are too tight. |
| those | 複数 | 遠い | Those birds fly south in winter. |
距離は物理的な近さだけを指すのではありません。これから言う内容には this、すでに言った内容には that を使うという時間的な使い分けがあります。Listen to this: the train is delayed again.(これを聞いて、また電車が遅れてる)は前者、That’s why I left early.(だから早く出たんだ)は後者です。
電話で名乗るときも this を使います。Hello, this is Aya speaking.(もしもし、綾です)。自分を I ではなく this で表すのは、電話での定型表現だからです。
もうひとつ、前に出た名詞の繰り返しを避ける that / those の用法があります。The climate of Okinawa is milder than that of Hokkaido.(沖縄の気候は北海道のそれより穏やかだ)。ここでの that は the climate の代わりです。複数名詞を受けるときは those になります。
英語の代名詞 it には天気・時間・仮主語の特別な使い方がある
it は「それ」と訳す語だと習いますが、訳さない it のほうが実は頻繁に出てきます。
天気・時間・距離・明暗を表す it
It is cloudy today.(今日はくもりだ)/ It is almost noon.(もうすぐ正午だ)/ It is three kilometers to the station.(駅まで3キロある)。これらの it は何も指しておらず、主語の席を埋めるためだけに置かれています。英語の文は主語を省けないので、指すものがなくても it を置きます。
仮主語の it(本当の主語は後ろにある)
It is difficult to explain this in one word.(これをひと言で説明するのは難しい)。この文の本当の主語は to explain this in one word の部分です。長い主語を先頭に置くと読みにくいので、いったん it を置いて後ろへ回します。
that 節が主語のときも同じです。It is clear that she was right.(彼女が正しかったのは明らかだ)。It is + 形容詞 + to 不定詞/that 節、という並びを見たら仮主語だと判断できます。
仮目的語の it
目的語が長いときにも同じことが起きます。I found it hard to keep quiet.(黙っているのは難しかった)。ここでの it は to keep quiet を先取りした仮の目的語です。make、think、consider などの動詞でよく使われます。
英語の代名詞 one と it は指しているものが違う
同じ「それ」でも、one と it では指す対象が違います。it は同じ1つそのもの、one は同じ種類の別のものを指します。
I lost my umbrella, so I bought a new one.(傘をなくしたので新しいのを買った)。ここで買ったのは、なくした傘とは別の傘です。だから one を使います。一方、I lost my umbrella but I found it later.(なくしたが後で見つかった)は、同じ傘なので it です。
| 語 | 指すもの | 例文 | 意味 |
|---|---|---|---|
| it | 前に出た当のもの | My phone broke, so I repaired it. | 同じ電話を修理した |
| one | 同じ種類の別のもの | My phone broke, so I bought one. | 別の電話を買った |
| ones | 同じ種類の別のもの(複数) | These gloves are worn out; I need new ones. | 別の手袋が要る |
| the one | 特定された1つ | The one on the left is mine. | 左のそれが私のもの |
なお one には、一般の人を指す使い方もあります。One should read the manual first.(まず説明書を読むべきだ)。やや改まった響きになるので、会話では you を同じ意味で使うほうが自然です。
①後ろに名詞があるか(あれば所有格)②主語と同じ人か(同じなら再帰代名詞)③同じ1つか別の1つか(同じなら it、別なら one)。この3問に順に答えれば、迷う場面のほとんどが片づきます。
英語で they を単数の代名詞として使う言い方
性別が分からない1人、または性別を示したくない1人を指すとき、英語では they を単数で使います。Someone left their bag on the bench.(誰かがベンチにかばんを置いていった)。someone、anyone、a student のように性別が特定できない語を受けるときの定番の形です。
この用法では、動詞は複数扱いのままです。If a customer calls, ask them to wait.(お客さまから電話があったら、待つように伝えてください)。them、their、themselves をそのまま使います。1人を指していることを明示したいときに themself という形を使う書き手もいますが、themselves のほうが広く用いられています。
かつては he を代表として使ったり、he or she と並べたりしていました。前者は性別が偏るため今はほとんど使われず、後者は文が長くなるため、多くの場面で they に置き換えられています。書き言葉でも会話でも、単数の they は自然な選択肢として定着しています。
英語の代名詞についてよくある質問
Q. 英語の代名詞で me と I を間違えやすい場面はどこですか
and で2つ並べたときと、than の後ろ、そして Who is it? — It’s me. のような受け答えの3か所です。and で並べたときは、片方を消して読めば判定できます。than の後ろは than I do と than me のどちらも使われ、会話では me が普通です。It’s me. も日常表現として定着しています。
Q. 英語の代名詞で its と it’s の見分け方を教えてください
アポストロフィがあるほう、つまり it’s は it is か it has の短縮形です。文中で it is に置き換えて意味が通るなら it’s、通らないなら所有格の its になります。人称代名詞の所有格には his、hers、theirs も含めてアポストロフィが一切付かないので、その並びで覚えると確実です。
Q. 英語の再帰代名詞は省略してもいいですか
用法によります。主語と目的語が同じで動作が自分に返る用法では省略できません。省くと別人に対する動作という意味になってしまいます。一方、強調用法の再帰代名詞は外しても文が成り立つので、省略できます。外して意味が変わるかどうかが判断の基準です。
Q. 英語の代名詞 you は「あなた」以外の意味で使いますか
使います。特定の相手ではなく一般の人を指す用法があり、You need a ticket to enter.(入場には切符が要る)は目の前の相手だけでなく誰にでも当てはまる話です。同じ意味を改まって言うと one になり、書き言葉ではそちらが選ばれることもあります。文脈で「あなた」なのか「人は一般に」なのかを読み分けます。
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